熱・酸に左右されない安定性
生きた乳酸菌や通常の活性酵素は、ドッグフードの加工熱や、犬の強酸性の胃を通過する段階で 多くが失活します。一方、発酵の過程で生み出された代謝産物や菌体成分(ポストバイオティクス)は、 熱や酸に対して極めて安定しており、腸まで確実に届いて作用します。
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Pet Wellness Science
Digestive Physiology of Dogs
犬は分類上「肉食に近い雑食動物」です。人間と比較して消化管の長さが著しく短く、 胃液の酸性度(pH1〜2程度)が非常に強いという特徴を持っています。 これは、生肉などを素早く消化し、付着している細菌を強い酸で殺菌するための適応です。
一方で、アミラーゼ(炭水化物を分解する酵素)の分泌量が極めて少ないため、 高分子の穀物や植物性食物繊維の消化を苦手としています。 短い時間で効率よく栄養を吸収するためには、食物があらかじめ細かく分解されているか、 あるいは消化を助ける仕組みが不可欠です。
The Enzyme Gap
野生時代のイヌ科動物は、捕食した獲物の内臓から、発酵しかけた食物や食物由来の酵素を そのまま摂取していました。しかし、現代のドッグフード(ドライフードなど)は、 製造過程で100℃以上の加熱・加圧処理が行われるため、原料に含まれる生きた酵素の多くは失活してしまいます。
酵素が欠乏した食事は、膵臓などの消化器官に対して過剰な消化液分泌を強いることになり、 加齢とともに体内酵素の消費を早める原因となります。 ペットの健康維持において、「いかにして消化器官の負荷を減らし、栄養吸収をサポートするか」が現代の課題です。
Postbiotics Approach
生きた乳酸菌や通常の活性酵素は、ドッグフードの加工熱や、犬の強酸性の胃を通過する段階で 多くが失活します。一方、発酵の過程で生み出された代謝産物や菌体成分(ポストバイオティクス)は、 熱や酸に対して極めて安定しており、腸まで確実に届いて作用します。
10年熟成発酵技術により、原材料(植物・穀物・生薬など)の分子構造があらかじめアミノ酸や オリゴペプチド、単糖類といった極小分子レベルまで分解されています。 これにより、犬の短い消化管でも、体に負担をかけることなく素早く栄養を吸収できます。
高分子の栄養素を消化するためには、体内で消化液を合成・分泌し、胃腸を動かすために多大なエネルギー(ATP)が消費されます。 事前低分子化された発酵代謝産物は、この消化エネルギーのロスを防ぎ、病後や高齢期の個体の体力維持に寄与します。
Gut-Organ Interconnection
最新の獣医栄養学において、腸内フローラの乱れは単なる便通の悪化にとどまらず、 全身の臓器ネットワークに影響を与えることがわかってきました。
腎機能が低下すると、体内の窒素代謝物(毒素)を尿として十分に排泄できなくなります。 腸内環境を酸性側に整え、善玉菌の増殖を促すことで、これらの毒素を善玉菌自身の栄養源として取り込ませ、 糞便とともに体外へ排泄する経路(腸管排泄)を強化し、腎臓の負担を和らげます。
腸内フローラの乱れによって生じた腐敗物質や未消化のタンパク質は、腸壁の隙間から血液に侵入し、 アレルギー反応や皮膚の慢性微細炎症(かゆみ、赤み)を引き起こす引き金になります。 タイトジャンクション(腸壁の結合)を強めることで、皮膚の健康維持へとつながります。
犬の免疫細胞の約70%は腸管に集中しています。発酵によって生み出された多糖類や、 乳酸菌の細胞壁成分(死菌体)が、腸の免疫受容体に直接働きかけ、 過剰なアレルギー反応を抑えながら、感染症に対する抵抗力を適切に維持します。
Conclusion
私たちは、何かの栄養素を過剰に「足す」ことではなく、犬が本来持っている消化・代謝のシステムを 「整える」ことが最も重要であると考えます。 発酵という古来からの知恵を最先端の獣医栄養学の視点で捉え直し、愛犬が長く健康でいられるための 静かな伴走者として、商品開発と技術提供を続けてまいります。