執筆:酵素株式会社 代表取締役 野尻明宏

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「人を支える仕事に、栄養と発酵の力を。」
介護は単なる“ケア”ではなく、生活を共にする営みです。そこに食と栄養がどう寄り添えるのか、一緒に考えてみませんか?


1. 介護業界のいまを俯瞰する

介護業界は、日本社会において最も成長している産業の一つです。
厚生労働省の統計によれば、要介護認定者数は年々増加し、2025年には約800万人を超えると推計されています。

現場の課題は大きく分けて3つあります。

  • 人材不足:身体的・精神的に負担の大きい仕事で離職率も高い。
  • 財政圧迫:介護報酬や人件費の増大により経営が難しい事業者も多い。
  • 利用者の多様化:高齢者だけでなく、若年層の障害者や認知症初期の方など、多様なケアニーズに対応する必要があります。

介護は「人対人」の関係に支えられています。だからこそ効率化やDXだけでなく、“人を楽にする工夫”が求められるんです。


2. 介護と「栄養」の切り離せない関係

私が祖父の介護に関わったとき、一番感じたのは「食べることがその人の一日の質を左右する」ということでした。
栄養を摂る=生きる力を支える。これほどシンプルで、でも難しい課題はありません。

介護現場ではこんな声が多く聞かれます。

  • 「バランスの良い食事を作っても、食欲がなくて食べてもらえない」
  • 「嚥下(えんげ)が難しく、詰まる危険がある」
  • 「栄養補助飲料は便利だけど、味や飲みづらさで続かない」

ここで発酵の力が活きてくると思うんです。発酵は食材を柔らかくし、消化しやすい形に変える。旨味や自然な甘みで食欲を刺激する。これは高齢者にとって、とても相性がいいんですよ。


3. 介護業界が抱える“新しい挑戦”

これからの介護業界は、単に「介助する」だけでなく、予防・健康増進・生活支援を含めた“包括ケア”へと拡大しています。

A. テクノロジーとの融合

AIやロボットを使った見守りや移乗補助。これにより人手不足を補い、ケアスタッフの負担を軽減。

B. 地域共生型サービス

地域の住民や企業と連携し、「共助」で支える介護。買い物支援や食事提供などが拡がりつつあります。

C. 食と栄養の革新

在宅でも施設でも、「簡便・美味しい・栄養価が高い」食品のニーズが爆発的に増えています。ここに発酵食品や酵素ドリンクの出番があると思います。


4. 発酵で介護を支える未来

発酵を介護に応用すると、次のような展開が考えられます。

  • 嚥下に配慮した発酵飲料:ゼリー状やトロミを調整した形態で提供。
  • 腸内環境サポート:便秘や下痢の改善に寄与するプロバイオティクスを日常的に摂取。
  • 食欲を引き出す発酵調味料:塩分控えめでも旨味で満足度を高められる。

こうした製品を介護施設や在宅介護に届けることは、単に「栄養補給」ではなく、その人の生活の質(QOL)を上げることにつながると私は思います。


まとめ(3つのポイント)

  • 介護業界は人材不足・財政圧迫・多様化という課題に直面している。
  • 栄養は介護の中心課題であり、「食べること」が生活の質を決定づける。
  • 発酵の力は、消化吸収の改善・嗜好性の向上・嚥下配慮の面で介護と相性が良い。

介護は「誰かの人生に寄り添う仕事」。
だからこそ、科学や発酵の知恵を取り入れて、もっと“温かく、無理のない仕組み”をつくっていきたいと思っています。


執筆者プロフィール

野尻 明宏(のじり・あきひろ)/酵素株式会社 代表取締役
経済学部(金融・ESG投資)を専攻後、信託銀行に勤務。
家族の介護経験を契機に発酵食品・酵素飲料の世界へ転身。
現在は酵素ドリンクや発酵食品の研究・製造を通じて、「発酵で命を支える」事業を模索しています。